「永瀬さんから学んだこと」

第23回戦没捕虜追悼礼拝 主催者代表挨拶


「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」実行委員会
代表 奥津 隆雄


大使館代表の皆様、英国在郷軍人会日本支部の皆様、および本日参加の皆様。

まず初めに、本日この追悼礼拝にお集まりいただけましたことを心から感謝いたします。今年もこの追悼礼拝を持てましたことを神様に感謝致します。

昨年、この追悼礼拝の呼びかけ人のひとりであります、永瀬隆さんのドキュメンタリー映画「クワイ河に虹をかけた男」が上映されました。この映画の監督であります、満田康弘さんが20年をかけて永瀬さんの人生を記録し続けた映画です。その映画が、先月7月15日に、永瀬さんの母校である青山学院大学でも上映されました。主催は私たち、「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」実行員会、共催は青山学院宗教センターでありました。

この映画が青山学院で上映されたことには大変意義深いものがありました。もし、永瀬さんがまだ生きておられたら、とても喜ばれたことと思います。なぜなら、永瀬さんが青山学院で学んだことが永瀬さんの平和と和解の活動を支える柱の一つとなっていたからです。では、永瀬さんが青山学院で学んだこととは何だったのでしょうか。そのことに関して、青山学院大学名誉教授の雨宮剛先生は「永瀬隆さんと青山学院」という記事の中でこのように言っています。「私には永瀬さんについてかねてより一つの疑問があった。日本軍の目に余る残虐行為を見ても、何もここまでこだわり続ける必要はなかったのではないか。見て見ぬふりだってできたはずである。何が永瀬さんをここまでこだわらせたのか。1994年9月、『青山学院と出陣学徒』のプロジェクトの一環としてインタビューのため倉敷の永瀬さんをお訪ねしたとき、この謎は解けた。「青山学院で罪の意識を学んだから。」これがその答えであった。」

罪の指摘は、聖霊の働きによるものです。聖霊は神様ご自身でありますので、永瀬さんに罪の意識を起こさせたのは神様ご自身であり、その後、永瀬さんが平和と和解の活動を続けてこられた背後には、実は、神様の働きがあったのです。そして、その神様の働きはこの追悼礼拝を通しても続けられています。私たちの目の前には、日本に連れて来られて亡くなった捕虜の方々の墓標があります。その墓標を見る時、日本人が犯した罪をはっきりと知ることができます。そして、十字架の前に立ち、その罪を悔い改めるのです。同時に、私たち自身の罪も悔い改めます。私たちも、日常生活の中で他の人を憎み、傷つけるようなを犯すことがあるからです。

永瀬さんはタイにおいて、クワイ河平和寺院を建立しました。看護学生のために奨学金を贈りました。亡くなった日本兵のために慰霊塔も建てました。しかし、それだけではありませんでした。永瀬さんはタイにおいて、またここ保土ヶ谷において十字架の前に立ち続けたのです。ですから、私たちも十字架の前に立ち続けましょう。そして、自分の罪を悔い改め、神様からの赦しを受け取りましょう。神様はそのことを私たちに願っています。そして、私たちが平和と和解の働きに参加するように願っているのです。

永瀬さんから私たちが学んだこと。それはこのことでした。永瀬さんありがとうございます。

神様の祝福と平安が皆様と共にありますように。