「過去の記憶を忘れないために」

 英連邦代表・J・ボイド
(英国大使館付武官海軍大佐)

 

 この素晴らしい場所において、皆様の見事な式典に参加させていただきますことを常に光栄に思っております。

 私たちは過去に恐ろしい出来事と、その悲惨な結果の記憶を胸に抱いて集まっております。しかし、私たちがその記憶を忘れてはならない理由は、過去において行われたことに怒っているとか、それを行った人々を責めたいからではありません。そうではなく、過去の出来事を忘れず、事実を認めることによって、再びそれを繰り返さないためにできる限りの努力をすることを確認するためであります。こうした考え方を皆様が共有して下さることを存じておりますし、皆様がこの目的に向かって今後も進んでいかれることを心強く思っております。

 この礼拝をこれからも続けていただきたいと心より願っております。私たちのために犠牲になられた方々に敬意を表するため、本日お集まりいただいたことに感謝申し上げます。ご静聴ありがとうございました。


この文章は『敗戦60年 戦争はまだ終わっていない 謝罪と赦しと和解と』(2005年8月発行)より、編者である雨宮氏の許可を得て転載させていただきました