「なぜ私たちは追悼礼拝を続けるのか」


第21回英連邦戦没捕虜追悼礼拝
主催者代表挨拶


「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」実行委員会
代表 奥津 隆雄


大使館代表の皆様、および本日参加の皆様。

まず初めに、本日この追悼礼拝にお集まりいただけましたことを心から感謝いたします。この追悼礼拝の趣旨は、プログラムにも書かれているとおり、戦時中日本で亡くなった英連邦捕虜の方々に、わが国の戦争責任を心からお詫びすることと、和解と平和を築く礎にしたいという願いと祈りでした。その追悼礼拝も今年で21回目を迎えます。今年も、和解と平和を築く礎が堅く建てられる一日を迎えられたことを感謝致します。

本日、この礼拝の3人の呼びかけ人の方々は誰もここにおられません。その3人の方々は、永瀬隆氏、斎藤和明氏、雨宮剛氏です。皆様すでにご存じのように、永瀬隆氏は2011年亡くなられ、斎藤和明氏は2008年に亡くなられました。雨宮氏は現在健康がすぐれません。雨宮氏は今日ここに来たかったのですが、家で休まざるを得なくなりました。電話口で、皆様にくれぐれもよろしくと申しておりました。実際、私は3人の方々が今日私たちと共におられないことをとても残念に思います。しかし、私たちはこの日を、彼らの意志を引き継ぎ、この追悼礼拝を末永く続けていく決意をする日としなければならないと思います。

その決意のしるしとして、私たちは記念誌を出版いたしました。平和と和解への道のりー「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」20年の歩みーというものです。これは小冊子ですが、平和と和解に関して、深い意味を含んでいます。この本を読まれるならば、この追悼礼拝がどのような歩みを続けてきたのか、そして、なぜ私たちがこの追悼礼拝を続けようとするのかがお分かりになるでしょう。どうぞ、お買い求めいただき、お読みいただきたいと思います。

本日、この追悼礼拝を引き継いだ者の一人として、皆様にあと2つのことを申し上げたいと思います。一つ目は、本日私たちがここにいる理由についてです。私たちは今、墓地のただ中に立っています。ここの墓石一つ一つは先の戦争中日本政府が犯した罪を現すものです。日本が捕虜たちを日本に連れて来て、虐待したので彼らは亡くなったのです。誰もそのことに関して異論はないはずです。私たちはそのことを申し訳なく思い、その罪を悔い改めねばなりません。それから、私たちは自分の目を上げ、目の前にある十字架を見るならば、私たち自身の罪も見ることができます。時に私たちは、心の中で人を憎み、悪口を言ったりします。またある時には、困った人を見ながらそれを無視してしまうことがあります。そのようなことを考えると、政府だけを責めるわけにはいきません。私たちの中にも同じ罪があるのです。私たちは本日ここで、自分の罪をも悔い改めなければなりません。

第2番目はお互いの協力についてです。本日たくさんの方々がこの礼拝に参加してくださっていることを感謝しています。実に様々なグループの方々が参加してくださっています。あるグループは本日50脚の椅子を貸してくださいました。あるグループはこの墓地に葬られている兵士たちの物語を提供してくださいました。それによって私たちはその兵士の方々についてさらに良く理解できます。他のグループの方々はこの追悼礼拝について話をしてくださり、本日この礼拝にお連れしてくださいました。これらの助けに心より感謝いたします。私たちも皆さまの活動にできる限り協力をしていきたいと思っております。どうぞ、私たちの助けが必要な時はお知らせください。本日皆様のお手元にある封筒とその趣旨資料をご覧ください。どうぞ、そちらの趣旨をお読みいただき、願わくはご寄付をお願いしたいと思います。皆様のご理解ご協力を感謝いたします。

2年前雨宮氏は「和解への道は遠く、険しい。それ故、私はこの礼拝が何年も先、200年先をも続いていることを心から願う」と語られました。私たちはこの言葉を覚え、毎年この礼拝を実行してまいります。また来年お会いいたしましょう。

神様の祝福と平安が皆様と共にありますように。