「赦し合うために」

ダッドリー・ケイヴ
(元英捕虜・ビルマ作戦同士会会員)

 

私たちの持っていた小さなラジオから原爆のニュースを聞いたのは、私が捕虜であった五〇数年前の事です。その時私は複雑な心境でした。それはこれで私は自由になるだろうという希望、それと同時に多くの市民が殺戮されたという思いでした。戦争というのはこういうものです。両者が互いに赦せぬ事をするものなのです。

 今ここに私たちは共に立っています。それは共に赦し合うためです。皆さんが私たちを、私たちが皆さんを共に赦し合うその時を今日は心に刻みたいと思います。記憶するという事は大切です。ここに生きていらっしゃる方の多くはまだ戦争中は生れていなかった方々でありましょう。その方々も共に、これらの記憶を胸に刻みつける、それが赦しの始まりです。


『敗戦60年 戦争はまだ終わっていない 謝罪と赦しと和解と』(2005年8月発行)より、編者である雨宮氏の許可を得て転載させていただきました。